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そして某曲イメージ
今夜もまた眠れない
あの人が嫌いで眠れない
決してこれは恐怖とかそんなものではない
本当は淡い期待を胸にしている自分
あの時のアンタが夢に出てきてくれればと
でもそれは虚ろの夢で終わる
「なーがいくん、一緒に遊びましょう!」
アンタの声が聞こえる
夢から現実に引き戻された
そうやって俺を探しているんだったらこっちも隠してやる
息を潜めてアンタを伺う
「隠れても意味はないぞ。」
どうしてそうやって強がるのか
俺はアンタのすぐ近くに隠れているのに
悔しくて思わず目の前に飛び出した
「三沢っ!」
飛び出した俺はその勢いでアンタを押倒す
俺の行動に拍子抜けしていたから簡単に倒れた
「なかなかやるじゃない。」
そう言って不敵に笑った
ムカッとした俺は無理矢理唇を押し当てる
もう体温の無い冷たいアンタの唇に
黒い液体がついていたが気にしない
息を止める勢いで食らい付く
このまま俺も暗闇の方へ落ちて行けたらいいのに
だからこのまま夢を見させてくれよ
今日は残っている仕事を終わらせるべく、机に向かう。
外はしとしと雨が降っている。
「なんかなぁ…」
「沖田早く終わらせろ。」
「わかってますよ!」
さぼりそうになる沖田を叱ったのは三沢。
そしてその隣に睡魔に襲われている白石。
彼等は沖田がちゃんと仕事をするように監視しているのだ。
白石はただそこにいるだけの様だが…
「も~、白石さん眠いなら戻ってくださいよぉ。」
「…そうはいかない。一藤さんの命令だ。」
「ったくあの人は…」
この二人を監視役に選んだ上司を沖田は心の中で恨んだ。
元々、沖田が仕事をしないのが悪いのだが…
「あ、」
「どうしたんですか?白石さん。」
さっきまで睡魔に襲われていた白石が急に声を上げた。
「…何でも無い。」
とは言ったものの、白石の顔は笑っている。
「何で笑うんですか。」
不審に思った沖田は理由を聞こうとしたが、
「ね、三佐。」
「そうだな。」
「なんか伝心してるし…」
三沢と白石の間で秘密にされてしまった。
「いいですよ、もう…」
仲間外れにされてしまった沖田は
あー、永井がいればなぁ…などと思いながら仕事を始める。
「そういえば、三佐。」
白石が再び声を上げるが、すぐに沈黙。
「……」
「……」
沖田は仕事に集中しているため気にしていない。
しかし、
「お前も行くのか?」
(え、この二人何も話してないのに…)
三沢と白石の会話に疑問を覚えてしまった。
しかも二人とも顔すら見ていない。
「……」
「……」
(なんなんだ、この間。)
また二人とも沈黙する。
沖田もだんだん仕事に集中できなくなってきた。
「今日中にできないと徹夜だぞ。」
「えぇ!徹夜!?」
仕事に集中していないことに気付いた三沢が再び注意する。
「ここ、出そうだよね。」
「な、何がですか?」
「幽霊。」
白石は無表情のまますらっと言葉にした。
本人は普通に言ったつもりだろうが、
それが余計に怖さを引き出している。
一方、三沢は黙っている。
「白石さん達も一緒だから大丈夫でしょ。」
「明日もあるし部屋に戻る。」
「だ、だって一藤さんの命令で…」
「俺らが徹夜する意味無いし。」
確かにそうだ。
三沢と白石は仕事をちゃんとこなしているので、
徹夜する必要性は無い。
「夜中に一人で仕事したくないなら頑張って。」
にこり、と白石は楽しそうに笑った。
「わ、わかりましたよ!ちゃんとやれってことでしょ!」
白石の脅し?に沖田は涙目になりながら仕事を再び始めた。
またまたオリジが介入してます
なんていうか永三永?で、すでに付合っちゃってる設定
永井は信じられない光景を見てしまって動揺していた。
「やっぱり俺じゃあ…」
全速力で走る姿は、まるで見てしまったことをとてつもなく後悔していることを物語っている。
「永井士長!」
そんな後悔の念に苦しめられている永井の後から
大きな声で自分を呼ぶ人がいた。
「…白石三曹。」
永井が振向けばそこによく知っている上官がいた。
彼は珍しく息を切らせている。
「話を聞いてくれるか?」
今度はいつもの静かな口調で白石は言った。
何の話を聞けというのだ、とこの時ばかりは白石に対して邪険に思うことしかできなかった。
理由は永井が見てしまった光景にある。
「三沢さんに近付くなとでも言いたいんですか。」
「それは違う。」
「じゃあなんで三沢さんがアンタに抱き付くんですか!」
永井はたまたま、と言うより運悪く見てしまったのだ。
一人で機材運びをしている白石を手伝おうと、
永井が声をかけようとした時だった。
「白石っ!」
酷く動揺した様子の三沢が現れたのだ。
普段こんな姿を一切見せないのに
どうして白石三曹の前で?まさか…
と疑問を持ってしまった永井は様子を伺うことにしたのだ。
そしてそこに不幸が降りてしまった。
遠過ぎて話している内容はわからなかったが、
三沢の方から白石に抱き付いたのだ。
普通だったら絶対にありえない光景に永井はこう思ってしまったのだ。
俺みたいな子供より大人な白石さんの方が好きなんじゃないか、と
悲しくなってしまった永井はその場から逃げるように走り去って
今に至るのだ。
「あれはだな…」
事情を説明しようと口を開く白石だったが、
何から言えばいいのか困って沈黙。
これが逆に永井の不安を煽ってしまう。
「もう、いいですよ…話なんか聞きたくない。」
そう言って永井はその場を去ろうとする。
「永井が聞かないと駄目なんだ!」
白石はどこかへ行こうとしている永井の腕を掴んだ。
「放して下さいよ!」
永井は躍起になって白石の制止を振り切ろうとする。
それでも白石は放さない。
「俺じゃなくて永井でないと駄目なんだよ。」
「え…」
白石が言った言葉に永井は振り切ろうとするのを止めた。
「三沢さんは普段あんな感じだけど、本当は怖がりなんだよ。
なんていうか…悪夢に憑かれている感じでさ。」
「悪夢?何ですかそれ…」
あの偏屈の三沢さんが怖がりと聞いて永井は驚いたが、
それよりも悪夢に憑かれているというのが気になった。
「俺と同じようでそうでないような。」
「白石さんと同じって…幽霊が見えるってことですか?」
「まー、それよりタチの悪いやつだけど。」
白石の話によると、三沢が悪夢にうなされるようになったのは
二年前の羽生蛇村の災害救出に行ってからだと言う。
その時白石も一緒に行っており、彼もそこに行ってから幽霊が見えるようになったらしい。
「ほら、三沢さんって現実主義者だから、変な物が見えてるなんて
誰にも言えなかったんだよ。」
「どうして俺には…」
相談してくれなかったんだろう、話してくれなかったんだろう
そう不安に永井が思っていると白石は静かに笑って永井の肩を軽く叩いた。
「好きな子に変に思われたくなかったんだと思うよ。」
「でも、なんで白石さんには?」
「同類だし口が堅いから、って話しちゃった。」
やばいという顔をして白石は口を押さえる。
それを見て永井は思わず吹き出した。
「大丈夫なんですか?話しちゃって…」
「まぁ、なんとかするよ。後でシバかれると思うけど…」
あの人容赦ないからなーとのん気に言っている白石。
「ご、ごめんなさい!疑ったり酷い事言ったりして。」
ふと自分がやったことを思い出して永井は思いっきり頭を下げて謝った。
白石は永井の突然の行動にきょとんとしてから笑い出し
「あんなの見たら誰だって疑うでしょ。いいなぁ、三沢さん想われてて…
羨ましいな!!」
そう言ってこのこの!と永井を肘で突付く。
「や、やめてください。白石さん!」
「永井が守ってやれよ。」
「・・・はい!」
こうして白石と永井の間での騒動は治まったのであった。
後日、永井のフォローも空しく白石は三沢にシバかれたそうな…
本当は一方通行だと思ってた。
俺だけが永井の純粋な笑顔に胸を締付けられ
突飛な行動に理性を破壊されそうになっているのだと思っていた。
でもそれこそ俺の一方的な考えで
「沖田さん、何考えているんですか?」
「永井が俺のこと好きだってぶっちゃけた時のこと思い出してた。」
「なっ!?」
叶わない恋だと勝手に諦めていたら、その彼から告白してきたのだ。
あの時は驚き過ぎて片手に持っていた煙草を落としたのを記憶している。
やっぱり若いと勢いがあるよな、とか今更ながら思う。
「止めて下さいよ…あれ今でも恥ずかしいんですから。」
「俺はすごく嬉しかったぞ。」
「そう言われると余計に恥ずかしいです。」
言った本人はこうやって照れているが俺には革命的な出来事だった。
でも年下に告白されるなんてな…
俺も随分と保守的になったもんだ。
永井と同じくらいの年齢だったら間違いなく突撃しているだろう。
若気の至りってやつ?