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管理人が好き放題やりたい放題書き散らしてる同人テキストです。



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おっさんと幼女の話
禅米の趣味丸出しで、中途半端です
それでもおkという方はRead more?からどうぞ

名前なんてのは昔に何処かへ無くした
無くしたと言っても、一応覚えてはいる
別に思い入れとかないからどうでもいい
今はシー・サーペントなんて呼ばれてる
俺の身体にある刺青がその名の理由
まぁ、元々海蛇をイメージした刺青だから
そう呼ばれるのは悪くは無い
しかし、困ったのは…

「よぉ、海蛇。お前暗殺者って本当か?」

行きつけの店に入ると、
いらっしゃいませの代わりにこれだ。
悪人の様な名前のせいか、変な噂がすぐ流れる。
この前は、一度に百人を相手にして全員皆殺しにした
というなんとも現実離れした噂を聞いた。
長い間生きてきたが、
そんなことはしないし、してもいない。
ちょっと痛い目に遭わせたことはあるが、
全く迷惑極まりないことだ。

「ちげぇよ。んなこたしないってこの前言ったろ。」
「ハハハ!だよなぁ。」

いつもの文句を言ってやると、
店主は豪快に笑った。
というか、何回このやり取りをすれば気が済むんだ。
ここの店主の事だから、
きっと面白がってやっているに違いない。

「で、今日は何の用だ?」
「ビールが切れた。」

ここは酒屋、というか何でも屋みたいな場所。
日用品やら食品やら色んな物が置かれている。
俺はいつもビールしか買わないが。

「この辺で、極悪人面はお前くらいだよな。」
「何か言ったか?」
「いんや、何も。おらよっと。」

ずいと袋に詰められた缶ビールをテーブルに置く。
それを受け取り、金を渡す。

「お前、ウィスキーとか飲まないのかよ?」
「何でだ。」
「その面でこうやって飲んでたら、映画にでも出れそうじゃねぇか。」
「アホか。」

確かにシー・サーペントなんて悪人みたいな名前だが、
だからと言って悪役にしようとしないで欲しい。
そもそも俺は俳優志望じゃない。
お馴染みになりつつある台詞に呆れて店を出る。
店を出る際、また来いよという声が後から聞こえた。




それは、さっさと家に帰ろうという時だった。

「お嬢ちゃん、僕と一緒に遊ぼうよ~」
「あんたと遊んでる暇はないの!あっち行って!」

変質者か何かと思われる男が、
小さな女の子に付きまとっていた。
別に俺には関係無い。
そもそも、子供は苦手だ。
俺の顔を見ると、すぐに泣き出す。

「僕と遊んでよ~」
「しつこい!」

女の子に怒鳴られても、
まるで、粘着テープの様にしつこく付きまとっている。
あの変質者はロリコンなのか?

「でないと、酷い事するよ?」
「痛い!」

男が乱暴に女の子の手首を掴む。
女の子は痛がっているではないか。
あんな力いっぱいに掴まれたら、
まだ細い腕に痣が残ってしまう。
それだけは、許せない。

「おい。」
「邪魔す…ひっ!!ししし、シー・サーペント!!」

俺の呼びかけに男が振り返り
顔を見た瞬間、小さな悲鳴を上げた。

「てめぇ、女の子相手に何してんだよ。ああ?」
「こ、これは、ち、ちちち違うんです。何かの間違いです。」
「何が違うんんだよ?腕に痕が残っちまってるだろうが!」
「ひぃぃっ!お命だけはぁぁぁ!!!」
「あっ!」

すごい勢いで逃げられた。
きっと、アイツも俺の変な噂を聞いていたのだろう。
こういう便利な時もある。

「おい、大丈夫か?」

女の子は先ほど掴まれていた手首を押さえて
唇を噛んで痛いのを我慢している。

「こ、こんなの大したこと無い。痛くなんてないんだから!」

と言っている割りには、泣きそうになっているではないか。

「そうか、この辺は危ねぇからさっさとウチに帰れ。」

子供に構っている暇は無い。
いや、構っていたら通報される。
前に一度そんなことがあった。
今なら通行人もいない。
ここから立ち去るのは今しかない。

「嫌!お家なんかに帰らないもん!!」
「ああ?」
「私、家出中なんだから!」
「はぁ?」

こんな小さいのに家出か。
親に何を言われたのかは知らないが、
この子を家に帰さないとそれこそ面倒なことになりそうだ。

「おら、交番に行くぞ。」
「嫌よ!私は家出中なの!交番になんか行かない!」
「うるせぇガキだな…」
「じゃあ、おじさんの家に住ませて!」
「……」

一瞬、この子が何を言ったのか理解できなかった。
住ませろ、だと…?

「あっ、なんで置いて行くのよ!」

面倒なことになる前に
この子供から逃げることにした。
何か後ろで叫んでいるが、俺の知ったことか。

「レディを置いて逃げるなんて卑怯!」

とりあえず、全速力で自分のアパートを目指し、逃げる。

「何が住ませろだ。俺を犯罪者にする気かあいつは。」

あんな子供を俺が連れていたら、誘拐犯だのロリコンだの
言われて白い目で見られるに違いない。
今でも十分いい印象はないが、これ以上酷くしたくはない。

「ったく、何をしてるんだ俺は…」

子供…しかも、女の子に追いかけられるなど
まるで悪い夢を見ているような気分だ。
走ってしまったから、ビールはすぐに飲めないだろう。
全速力で走るなんて滅多にないからな。
とりあえず、あの女の子は振り切ったようだし、
自分の部屋の鍵を開けようとした時だった。

「おじさん、逃げるの…早すぎ…」

何か後ろにいた。
いや、気のせいにすることにした。
俺は何も見なかった。

「ちょっと!ドア閉めるなー!!」

バンバンと玄関のドアを叩きまくるさっきの子供。
どう考えても近所迷惑だ。
今までに積み上げてきた、平和な隣人が壊される。
それだけは避けたい。

「うるせぇ、そんなに叩くな。」
「おじさんが閉めちゃうからでしょ!」

まるで風船の様に顔を膨らませて、
両手を腰に当てている。

「いいから、中入れ。」

このまま外に放り出しておいても、
さっきのように騒ぐに違いない。
あまり人を入れたくはないのだが、この際仕方ないだろう。

「おじさんって変わった部屋に住んでるのね。」
「悪かったな。」

俺の部屋は殆どが黒一色。
あとは悪趣味な小物がちらほら。
俺のお気に入りの黒いソファにちょこんと座る。
遠くから見れば、まるでこの部屋に不釣合いな人形だ。

「そういえばおじさん何て言うの?さっきの変人さんは
 しーさーぺなんとかって言ってたけど。」
「シー・サーペントだ。俺には名前は無い。」
「名前無いの?なんで?」
「忘れた。ただ、それだけだ。」

これまた真っ黒な冷蔵庫に
先程買ってきたビールを詰め込む。
青い硝子球の様な大きな瞳が
不思議そうに俺を見つめてくる。

「お前は何て言うんだ?」
「アリエッタ。この名前あんまり好きじゃない。」

そう言うとむくれる少女、アリエッタ。

「子供っぽくて嫌。もっとセクシーな名前が良かった。」
「……」

その発言に呆れるしかなかった。
こんな子供がセクシーとか気にするのか…
俺は自分の名前を気にしたことがないから
名前がどうの、なんてのはわからない。
シーサーペントは良し悪し、五分五分ってところだ。
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プロフィール
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禅米(ぜんまい)
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性別:
女性
職業:
不健康日本腐女子
趣味:
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自己紹介:
超気まぐれで脳内熟成発酵しちゃってます。
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