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またまたオリジが介入してます
なんていうか永三永?で、すでに付合っちゃってる設定
永井は信じられない光景を見てしまって動揺していた。
「やっぱり俺じゃあ…」
全速力で走る姿は、まるで見てしまったことをとてつもなく後悔していることを物語っている。
「永井士長!」
そんな後悔の念に苦しめられている永井の後から
大きな声で自分を呼ぶ人がいた。
「…白石三曹。」
永井が振向けばそこによく知っている上官がいた。
彼は珍しく息を切らせている。
「話を聞いてくれるか?」
今度はいつもの静かな口調で白石は言った。
何の話を聞けというのだ、とこの時ばかりは白石に対して邪険に思うことしかできなかった。
理由は永井が見てしまった光景にある。
「三沢さんに近付くなとでも言いたいんですか。」
「それは違う。」
「じゃあなんで三沢さんがアンタに抱き付くんですか!」
永井はたまたま、と言うより運悪く見てしまったのだ。
一人で機材運びをしている白石を手伝おうと、
永井が声をかけようとした時だった。
「白石っ!」
酷く動揺した様子の三沢が現れたのだ。
普段こんな姿を一切見せないのに
どうして白石三曹の前で?まさか…
と疑問を持ってしまった永井は様子を伺うことにしたのだ。
そしてそこに不幸が降りてしまった。
遠過ぎて話している内容はわからなかったが、
三沢の方から白石に抱き付いたのだ。
普通だったら絶対にありえない光景に永井はこう思ってしまったのだ。
俺みたいな子供より大人な白石さんの方が好きなんじゃないか、と
悲しくなってしまった永井はその場から逃げるように走り去って
今に至るのだ。
「あれはだな…」
事情を説明しようと口を開く白石だったが、
何から言えばいいのか困って沈黙。
これが逆に永井の不安を煽ってしまう。
「もう、いいですよ…話なんか聞きたくない。」
そう言って永井はその場を去ろうとする。
「永井が聞かないと駄目なんだ!」
白石はどこかへ行こうとしている永井の腕を掴んだ。
「放して下さいよ!」
永井は躍起になって白石の制止を振り切ろうとする。
それでも白石は放さない。
「俺じゃなくて永井でないと駄目なんだよ。」
「え…」
白石が言った言葉に永井は振り切ろうとするのを止めた。
「三沢さんは普段あんな感じだけど、本当は怖がりなんだよ。
なんていうか…悪夢に憑かれている感じでさ。」
「悪夢?何ですかそれ…」
あの偏屈の三沢さんが怖がりと聞いて永井は驚いたが、
それよりも悪夢に憑かれているというのが気になった。
「俺と同じようでそうでないような。」
「白石さんと同じって…幽霊が見えるってことですか?」
「まー、それよりタチの悪いやつだけど。」
白石の話によると、三沢が悪夢にうなされるようになったのは
二年前の羽生蛇村の災害救出に行ってからだと言う。
その時白石も一緒に行っており、彼もそこに行ってから幽霊が見えるようになったらしい。
「ほら、三沢さんって現実主義者だから、変な物が見えてるなんて
誰にも言えなかったんだよ。」
「どうして俺には…」
相談してくれなかったんだろう、話してくれなかったんだろう
そう不安に永井が思っていると白石は静かに笑って永井の肩を軽く叩いた。
「好きな子に変に思われたくなかったんだと思うよ。」
「でも、なんで白石さんには?」
「同類だし口が堅いから、って話しちゃった。」
やばいという顔をして白石は口を押さえる。
それを見て永井は思わず吹き出した。
「大丈夫なんですか?話しちゃって…」
「まぁ、なんとかするよ。後でシバかれると思うけど…」
あの人容赦ないからなーとのん気に言っている白石。
「ご、ごめんなさい!疑ったり酷い事言ったりして。」
ふと自分がやったことを思い出して永井は思いっきり頭を下げて謝った。
白石は永井の突然の行動にきょとんとしてから笑い出し
「あんなの見たら誰だって疑うでしょ。いいなぁ、三沢さん想われてて…
羨ましいな!!」
そう言ってこのこの!と永井を肘で突付く。
「や、やめてください。白石さん!」
「永井が守ってやれよ。」
「・・・はい!」
こうして白石と永井の間での騒動は治まったのであった。
後日、永井のフォローも空しく白石は三沢にシバかれたそうな…